地元の広島から札幌に移住して学生生活を送る化学系大学院生かめ (D2) です。三度目の優勝を果たした2015年以来、サンフレッチェの大ファンになりました。あまりにサンフレッチェが好きすぎて、大学院修了後、いつでも観戦に行けるよう広島で就職することに。企業の給与や福利厚生など完全無視で企業選びをしてしまったのです笑。おまけにスタジアム観戦を就職まで待ち切れませんでした。DAZNに映る新スタジアムがあまりに魅力的で、新スタジアム開業初年度は札幌からエディオンピースウイング広島へ二度の大遠征を敢行しました。
私をダイソンのような吸引力でもって札幌から広島へ惹き付けたピースウイング。この記事では、サンフレッチェの新スタジアムが持つ魅力について、二回観戦した感想を元に詳しく解説していきます。
抜群の立地が生み出す魅力
サンフレッチェが使用していた前のスタジアムは広島市の外れにありました。アクセスがやや不便で行きづらかったのです。アストラムラインでは新白島駅から最寄り駅まで30分。下車後、険しくて長い坂を10分以上歩かねばなりませんでした。広島駅や横川駅から出ていた観戦バスでも片道20~30分。道路が混雑する帰路だとバス待ちの時間込みで1時間近くかかったのです。これだけ行き来に時間や手間がかかってしまうと観客の動員数が伸びません。チームがどれほど魅力的なサッカーを演じようとも、アクセスの悪さが仇となり、サッカー好きのコアサポーターを中心とした集客構造となっていました。
今年開業した新スタジアムは、広島市内のど真ん中にあります。バスセンターや路面電車の原爆ドーム前駅から徒歩10分で行ける距離なのです。JRの駅からも徒歩20分圏内。中心駅の広島駅からさえ歩いて向かえる距離でしょう。アクセス最高の立地に開業したおかげでサッカー好き以外のお客さんをも集められるように。「近いから行ってみるか」との理由で人が集まった結果、各試合は大盛況を見せているのです。
新スタジアムは帰りの動線もスムーズ。2万人以上の観客を混雑させず捌ききるのは大変なはず。しかし、観客がうまい具合に東西南北へ分散して帰るおかげであまり混み合わないのです。試合終了から20分も経てばスイスイ家路につくことが可能。最初から最後までアクセス面で不快な思いをしないが故にリピーター客が続出するのでしょう。
観戦体験を高める演出
サンフレッチェのナイトゲームはまるでコンサート。サポーター各位が紫色に光るペンライトを持ち、曲に合わせて左右に振ったり歌ったりと大盛り上がり。おまけに盛大にプシャーっと花火まで打ち上げちゃいます。もの凄い数のロケット花火がスタジアム上空を華やかに彩るのです。こんなド派手な演出を百万人都市のど真ん中で行うものだからなおのこと爽快。サッカーと花火大会を同時に楽しめるため、カップルの新デートスポットにもなりました。
超熱狂的なサポーターズシート
新スタジアムは音響が素晴らしい。サポーターズシートから発せられた大声が屋根で反響して声量を増幅させます。大声は更なる大声へ、そしてサポーター席全体の一体感に繋がるでしょう。その場にいて鳥肌が立つほどの大声量に包まれながらの応援はすごく楽しいです。もはやサッカーを観に行っているのだか、それとも声を出しに行っているのだか分からない。自分的には声出しが主目的。サッカーの詳細は後からDAZNで確認すればいいと割り切り、現地にいる間は声を張り上げてチームの後押しに集中しています。
前スタジアムではサポーターズシートのチケットが完売になるなどあり得ませんでした。新スタジアムではほぼ全試合で完売し、下層から下層まで全員で声を張り上げて応援しています。盛り上がりすぎてドーパミンの分泌が止まりません。あの快感を味わいたいが故に、足しげくサポーターズシートへ通い詰める方が続出します。私自身、サポーターズシートの2025シーズンチケットを買ってしまいました。サンフレッチェ中毒ですね。中毒上等。ぶっ倒れるまで応援するつもりです。
サンフレッチェのサッカーが面白いから
2022年にドイツ人のミヒャエル・スキッベさんが監督に就任。それ以来、サンフレッチェは今まで以上に魅力的なフットボールをするように。攻撃時は流動的なポジショニングと変幻自在なパスワークで相手の堅陣を打ち砕く。守備時には前線からハイプレスを仕掛けて徹底的にボールを追い回す。90分間ずっと高強度なプレーをします。ピッチから片時も目が外せないほどの速い展開でもって観客を楽しませてくれるのです。
おまけに、むちゃくちゃ強い。スキッベさんが就任して以来、三年連続でJ1リーグトップ3入り。2022年にはルヴァンカップで優勝。2024年には四度目のJ1リーグ制覇し、アジアチャンピオンズリーグ2でもベスト8まで進出しました。スタジアムへ観に行けばほぼほぼ勝てる。高確率で勝ち試合を見せてもらえるのなら観客だって喜んで行くでしょう。連敗中でも観客の入りは衰えませんでした。きっと今度は勝ってくれるだろうとの期待感が観客動員数を下げさせません。
広島に娯楽が少なすぎるから
最後にマイナス面での要因を一つ。
2023年度、広島県は47都道府県で最も転出超過数の多い自治体となりました。不名誉にも、三年連続でのワースト一位なのです。地価が高い、就職先が少ない(給与が安い)、子育て支援が乏しいなど様々な理由が。地元民としては非常に過ごしやすい場所なのですが、私のようには感じず、近くの大都市圏への移住をお選びになる方が決して少なくありません。
広島の転出超過数が多い理由の一つに挙げられているのが「娯楽の少なさ」。百万人都市の割には遊びに行ける場所が少なく、若者が大きな不満を感じているようです。広島の娯楽はスポーツ観戦がメイン。これ等に興味のない方が楽しめるエンターテインメントがほとんどありません。全国ツアーのコンサートも大阪の次会場は福岡。名古屋飛ばしならぬ「広島飛ばし」が日常的に起こっています。”だったら福岡か大阪に住もう”と考える若者が増えるのも頷ける話。福岡も大阪も山陽新幹線で1.5時間圏内。両都市には就職先や娯楽が盛り沢山。あまりに魅力的な大都市圏に挟まれているがための全国ナンバーワンな転出超過数なのです。
新スタジアムで行われる一連の興行は、広島在住の若者が楽しめる娯楽バラエティーを増やしてくれました。スタジアムが遠すぎてサッカー観戦が娯楽の選択肢に入らなかった層を取り込めたのです。広島の数少ない娯楽の一つとしてこの土地の人間を惹きつけています。娯楽が少なすぎるおかげでの盛り上がり。競合するエンタメがなく、今後もしばらくサンフレッチェはブルーオーシャンを悠々自適に泳いでいくのではないでしょうか。
まとめ
エディオンピースウイング広島は、アクセス性の高い立地と充実した演出で多くの観客を魅了する新たなランドマークとなっています。市内中心部という好立地により、サッカーファン以外の層にも気軽に足を運んでもらえるようになりました。スタジアムでは、紫色に輝くペンライトショーや花火など、コンサートさながらの演出が観客を楽しませています。また、優れた音響設計により、サポーター席からの応援は迫力満点。ミヒャエル・スキッベ監督率いるチームの魅力的なサッカーと相まって、多くのリピーターを生み出しています。広島の数少ない娯楽施設として、若者を中心に新たなエンターテインメントの選択肢を提供し、街に新しい活気をもたらしているのです。
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